重症だけが後遺障害ではありません!


交通事故の後遺障害は自賠法で規定されており、1級~14級までありますが、その種類は140種類になっています。

上位等級に該当するような方は非常に深刻な症状であると言えますが、10級~14級に該当する方の中には、5年程で以前のように回復する方もいらっしゃるようです。

相談が多いのは『ムチウチ』ですが、症状に個人差があり、後遺障害が認められる方と認められない方がいます。


後遺障害が認められたら、どうなるの?


後遺障害の等級に合わせ、『後遺障害慰謝料』『逸失利益』を損害賠償として請求できることになります。

以下は、自賠責保険から支払われる等級ごとの保険金額(限度額)です。

〇介護を要する後遺障害

 《 第 1級 》 4000万円 

 《 第 2級 》 3000万円

〇後遺障害

 《 第 1級 》 3000万円

 《 第 2級 》 2590万円

 《 第 3級 》 2219万円

 《 第 4級 》 1889万円

 《 第 5級 》 1574万円

 《 第 6級 》 1296万円

 《 第 7級 》 1051万円

 《 第 8級 》  819万円

 《 第 9級 》  616万円

 《 第10級 》  461万円

 《 第11級 》  331万円

 《 第12級 》  224万円

 《 第13級 》  139万円

 《 第14級 》   75万円

上記自賠責保険のほか、等級により損害賠償請求が認められることがあります。


申請方法と認定について


症状固定と判断されると(概ね受傷後6か月以上のあと)、申請できます。

多くの場合、事故被害者の相手保険会社が申請しています。

後遺障害診断書を主治医に記入してもらい、レントゲンなどの医証とともに、認定機関へ申請します。分かりにくいかもしれませんが、加害者が契約している任意保険会社が、加害者の加入する自賠責保険会社に申請書を提出し、その保険会社を経由して損害保険料率算出機構に属する自賠責損害調査センター調査事務所が認定するのです。

認定機関は、提出された書類を審査して、後遺障害を認定します。


申請は専門家を利用した被害者請求をお勧めします!


前述したように、多くの場合、加害者の加入する任意保険会社が自賠責保険会社へ申請していますが、このことを事前認定と言います。全てを加害者の保険会社へ任せるので、被害者はとても便利です。


しかし、本来、被害者は自分の損害を自分で証明して相手に請求すべきですよね。なぜなら、相手はあなたの損害を完全に漏れなく把握できないからです。


先に述べたように、認定機関は申請書類を審査して後遺障害を認定します。

もし、重要な証明書類が不足していたら、どうなると思いますか?


申請していただく加害者側保険会社が医証の不足に気づいていなかったり、医師が後遺障害の認定にどのような医証が必要なのか知らなかった場合、あなたの適正な後遺障害は認められないことになります。

つまり、認められるべき等級より低い等級になる訳です。後遺障害を認められないこともあるでしょう。(「非該当」と言います)


医師は被害者の治療のプロです。しかし、後遺障害申請についてのプロではありません。

加害者保険会社は保険支払いのプロです。しかし、被害者の損害を、被害者の立場で、十分に証明するとは限りません。

実際に、保険会社が提出した申請書類一式や、医師が記入した後遺障害申請書を相談者に見せてもらうことがあります。多くの医師は、後遺障害申請書を丁寧に書かれています。しかし、適正に認定されるには内容が不十分なことも少なくありません。


保険会社の多くは、そのような不十分な医証を、そのまま申請していることが多いと思われます。

後遺障害の等級は、被害者の今後の生活を補償するうえで、最も重要なものであることを自覚してください。

後遺障害申請を専門としている行政書士の多くは、上記の理由から、被害者請求を勧めています。


『被害者請求』とは?


被害者が、加害者の加入する自賠責保険会社へ直接申請することを言います。

通常は、加害者の任意保険会社が、加害者が加入する自賠責保険に申請するのでしたね。


被害者請求には多くのメリットがあります。

①被害者(あなた)の申請書類を、自分で確認できる。

②自分で直接申請するので、「申請が保険会社で止まっていた」ということを防止できる。

③認定結果の理由を詳しく問い合わせることができる。

④相手と示談が成立する前に、自賠責の後遺障害分の保険金が受け取れる。

などが、主なメリットです。